時代 Oitan

立命館アジア太平洋大学久米 彩花

「ジェネレーションZ 次世代の若者の感性を探れ」

久米彩花氏

「ジェネレーションギャップ」という言葉に表されるように、世代の違いや数年の差で考え方や価値観は大きく異なります。
今回は、We are Oitanのおっさんたちが、「今の若い人って何を考えてんの?」という疑問を解消すべく、インタビューを敢行!

取材させていただいたのは、立命館アジア太平洋大学4年生の久米彩花(くめあやか)さんです。エシカルファッションを切り口に、人や環境に優しいものづくりのあり方を発信しています。
1990年代の後半に生まれた「Z世代」の大分県代表として、今の若い人たちの興味や社会の捉え方を話していただきました!

Z世代の興味・関心
久米さん

-早速なんですが、久米さんはどういうものに関心があるんですか?

ん〜、KPOPが好きなんで、今だとNiziUとかですかね。
YouTubeでオーディション動画の時から見ていました。

-YouTubeは音楽系を主に見ているんですか?

アイドルとか音楽っていうよりも、ライフスタイル系が多いですね。
例えば、好きなモデルさんの1日の過ごし方とか、1日で何を食べているのかとか、Vlog*1系の動画です。

*1 Video Blogの略で、文字に残す一般的なブログに対し、Vlogは動画で録った映像を残すブログのことを指す。

久米さんスマホ
▲Webドラマ「TOBE」の1シーン。Credit: Kento Hirasue(youth_since2019)

-好きな芸能人とかモデルさんって、例えば?

山神アリシアちゃんとかですね。めちゃくちゃ可愛い子なんですよ!
オーガニック通販のものをよく買ってたり、ヘルシーな料理をSNSにアップしてて、モデルさんでありながらオーガニックとかエシカル系の情報を発信しているので、いつも見てます!

-自分の目標みたいな人の動画を見ているんですね

そうですね。長谷川潤ちゃんみたいな、自分がなりたい、ビジョンに近い人のVlogとかを見て、「何買ってるのかな」とか「どこ行ってるのかな」っていうのを見ていますね。

-テレビ世代のおじさんたちに対して、今の子たちは好きな人の生き方とかライフスタイルに共感して、動画やSNSを見ているんですね

ちっちゃい時は実家の静岡でテレビをよく観ていましたよ。ただ、大学で大分にきてからはYouTubeやAbemaTVでニュースとかを観るようになりました。
テレビのニュースはずっと観ないといけませんが、TikTokとかで流れるニュースなら短時間で必要な情報をパパッと観られるので、テレビよりも効率が良いですね。

-トレンドとかもYouTubeやSNSで見ている?

トレンドはインスタで確認しています。見られている回数が多ければ、「あ、これが流行ってきているんだな」って分析しています。
例えば、コスメとかヘアカラーとかで「最近、このスタイルよく見るなぁ」って思っていたら、アイドルやモデルの方がやっていたのが流行の元になっているのは良くありますね。
Z世代の自己発信−セルフブランディング−
久米さん国際学生友人と
▲APU国際学生の友人たちと。

-おっさん世代は恥ずかしくて自撮りしてSNSに投稿なんてすることはほとんどないんですが、久米さんは抵抗ない?

全然ないですね。むしろ、自撮りの写真を結構アップしている方ですね。自撮りの写真を上げるだけで閲覧数が全然違うんです。
ただ、インスタとかのSNSはアカウントを分けて使っています。

-アカウントを分ける?

インスタのアカウントは、セルフブランディング用とプライベート用で分けています。友達だけが見られるプライベート用のアカウントなら、自分が発信したいことばっかり上げています。

-セルフブランディング用はどんな使い方をしているんですか?

アカウントをビジネス用に切り替えれば、インサイト*2が見られるようになるんですよ。どれだけの人が見ているのか、反応がどれだけきたか、どういう人が見ているのかとか。
そういうのを分析して、投稿の内容をブラッシュアップしています。

*2 「インサイト」とは、SNSの投稿内容への反応を分析できる機能のこと。閲覧数だけでなく、投稿からプロフィールへのアクセス数なども確認できる。

-アカウントごとにメリハリがついているんですね。セルフブランディングは、どうやって勉強しているんですか?

モデルさんたちの投稿の仕方を真似ています。私はエシカル系に興味があるので、エシカル系インフルエンサーの発信の仕方を見て、「これ、見やすいなぁ」って思ったものを真似して取り入れてきました。
フォローして欲しい層からフォローしてもらえるように投稿内容を考えて発信しています。
「映え」っていうよりは、投稿内容の統一感や、伝えたいことが伝わりやすいかどうかを大事にしていますね。
IGインサイト

-「フォロワーさんに見てもらいたい」って意識しているポイントは?

発信している内容が、「エシカルファッション」っていう社会問題や環境問題に絡めた新しいファッションのあり方です。
どんな社会問題が起きているか、どれだけ環境に影響を与えているかっていう問題意識を伝えたいんですが、それだと元から興味のある人しか見てくれないので、切り口を変えています。

-たしかに、テーマが重いというか、気軽には関わりにくい内容ですね

そうなんです。伝えたい思いはありますが、「問題意識から」っていうよりは、新しいエシカルファッションって「クールだな」とか「おしゃれだな」って感じてもらって、ポジティブな印象で「真似したい」「勉強してみたいかも」と思ってもらえるのを意識しています。
そもそもエシカルファッションって何?
図書館①

-久米さんが取り組まれている「エシカルファッション」についても伺いたいです

簡単に言うと、地球環境と生産に関わる全ての人たちにとって優しいものづくりの場所のあり方ですね。
例えば服を染色したり、そもそもの原料を生産するために大量の水や化学薬品が使われるのですが、自然への影響を考えてできるだけ少ない量で作れるように開発したり、オーガニック素材に切り替えたり工夫されています。
あとは、使い終わった素材をゴミにして捨てるんじゃなくて、「再利用できないか」って考えるのもエシカルファッションの考え方ですね。

-エシカルファッションを始めるきっかけは何だったんですか?

社会問題に関心を持つようになったのは、8歳くらいの時に観たテレビ番組だと思います。発展途上国で生活している女の子を取り上げていたんですが、貧しい人たちが社会の下敷きになっている状況に問題意識を持つようになりました。
エシカルファッションに取り組むようになったのは、大学2年生の時に『ザ・トゥルー・コスト』っていう映画を観たことが大きいですね。

-どんな映画だったんですか?

華やかなファッションの世界の裏側でどんなことが起こっているのかをドキュメンタリーにした作品でした。
それこそ、コットン農家で起きている問題や、服を作っている工場で苦しんでいる人たちのリアルが描かれていました。

-問題意識を持つようになってからは、どんなアクションを起こしたんですか?

高校2年生のころから社会問題について自分で調べるようになって、バングラデシュやタンザニアとかコットン農家がある場所へ実際に行ったりしました。
エシカルファッションショー

-実際に行ってみてどうでした?

ファストファッション自体は今から10年ほど前に流行し、大量生産・大量消費を促す経済モデルが強くなっていったんです。
そんな中で、2013年に起きた縫製工場の崩壊事故をきっかけに、ファストファッションの問題点が明るみに出たんですが、それからの5年間でどんな改善がされたのかを取材しました。
ラナプラザ跡地
▲久米さんが実際に訪れた時の写真。崩壊事故があった縫製工場「ラナプラザ」の跡地写真
話を聞く中で、現地の人たちも事故をきっかけに良し悪しの判断がつくようになってきたと思います。認証の取得や生産している建物の安全性がなければ、グローバルな取引ができなくなってきたのも要因だと思います。

-生産現場がだいぶ変わってきたんですね

ただ、他の国にも行った中で、単純に「オーガニックに切り替えよう」としても、生産効率の低下や、管理体制の問題で生産者側にとって負担が大きくなってしまう現状もあります。
一筋縄ではいかないと言うか、パラダイムシフトが必要だと思いますね。
Z世代の個性
久米さん

-Z世代って、「個」が際立っているイメージがありますが、周りの雰囲気に流されなかった?

高校生の頃までは流されることもあったと思います。偏差値の高い学校を卒業して、大企業に入って安定することが良いのだと思っていました。でも、高校2年生の時に将来仕事としてやりたいことを考えた時に、偏差値で選ぶよりも社会課題について学びを深めたいと思い、APUへ行くことに決めたんです。

-高校生の時から「この道を行く!」って決めるのはすごいですね

私が通っていた静岡の高校では、どの先生もAPUのことを知らなかったんですが、そこで「個の選択の重要性」というか、周りに流されずに自分の道を決めることの大切さを感じました。
たしかに、周りの雰囲気を見ることも大事なんですが、あくまでも個の視点を持った上で選択するのが大事だと思います。

-Z世代だからなのか、久米さんだからなのか、個の存在が光っていますよね

私だけじゃなく、APU生は何かしらの目標や問題意識を持っている人が多いと思います。
親世代の人たちよりも私たちの世代の方が環境への意識が強かったり、自分ごととして捉えている気がします。
図書館②

-国籍やジェンダーなどはどう捉えていますか?

私はそこまで気にならないんですが、大学の友達がカミングアウトしたりしているのを見聞きしたことがあります。
例えば、黒人差別の問題で認識が違うのは、多様な人種の人と触れ合ったことがあるか どうかも影響しているんじゃないでしょうか。
APUだと、留学経験者も多く、逆に自分が差別的な扱いを受けたことがきっかけで、自分から発信していこうと決めた人もいますね。

-若者をはじめ、だんだんと社会問題に敏感になってきている?

若い人ほど環境や社会問題に敏感で寛容になっていると思います。カミングアウトした友達とかを見ると、「自由でいいな」と言うか、他人からどう見られるかを気にせず、自分らしく生きていける社会ってすごく心地良くなるだろうなと思います。

-ちょっと話が変わりますが、ドラゴンボールのシェンロンが願いを1つだけ叶えてくれるとしたら、何を願います?

シェンロンですか(笑)?
んー、フォロワーを100万人にしてもらうことですかね。
久米さんインスタ
▲久米さんのInstagramアカウント

-お金じゃないんですね(笑)

今のインスタのフォロワーさんが2000人ほどですが、エシカル系のブランド企業から「一緒にお仕事しませんか」と、お声がけいただくことがあるんです。
SNSの影響力があれば、1億円をもらわなくても1億円稼げる仕事ができると思います。
あとは、影響力を持っている人ほど、自分の伝えたいことをストレートに発信できるので、フォロワーが増えてエシカルが広まればいいですね。

-「こんな社会になればいいな」っていう願いはありますか?

「誰かの幸せのために、誰かが苦しむ世界」を変えられたらなって思います。
平等とまではいかないんですが、限りなくそれに近い世界が理想ですね。
win-winな社会でみんなの心が豊かになればいいなって思います。
久米さん

-そういう社会って素敵ですね

そうですね。企業活動で言えば、これからの社会は環境汚染とか人への配慮が欠けている企業は徐々に淘汰されていくと思います。
お金っていうよりも、社会に貢献していくことが将来的に必要になってくるんじゃないんかな。

-今の30歳前後がミレニアル世代、そして久米さんたち20歳前後の若い方がZ世代と言われていますが、次はどんな世代がくると思いますか?

Z世代の次かぁ。今の若い人たちがすでに社会問題に関心を寄せていますが、これがさらに浸透していくと、カテゴライズしない世代になってくるんじゃないかと思います。
ジェンダーレストイレ
▲APUにあるジェンダーレストイレ

-カテゴライズしない世代ですか?

最近はAPUでも性差別に配慮していて、性別に関係なく利用できるトイレができました。
社会全体で多様性に対して寛容になってくれば、男女の性だけでなく、国籍やいろんなカテゴリーがなくなって、ボーダレスな社会になると思います。
なので、次の世代に名前をつけるとしたら、「ボーダレス世代」ですかね。
思いつきです(笑)。
久米さんキャンパス

-最後に、積極的に活動されている久米さんですが、地元静岡を離れ「大分に来て良かった」と思いますか?

そうですね。食や温泉はもちろんのことですが(笑)、APUに入って、いろんな人と繋がれたことですかね。
例えば、フードロス*3を解決するための「Trash Kitchen」*4をやろうとなった時に、食材を提供していただける方が1人いると、その繋がりで提供していただける方が増えたり、配送なんかも手伝っていただいたりで、人の温かさを感じましたね。
トラッシュキッチン
▲フードロス問題の解決に取り組むTrash Kitchen。現在は営業終了している。
別府駅高架下の商店街なんかも「お裾分け」の文化がまだ残っていて、知り合いに会うと「これ持っていきな!」とか、八百屋さんが買ってないものもくれたりするんですよね(笑)。こっちは、地元静岡とはまた違った温かさがあります。
将来、世界のどこかで2拠点生活を視野に入れているんですが、大分は候補地に入っていますね。

*3「フードロス」とは、売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来は食べることができたはずの食品が廃棄されること
*4「Trash Kitchen」は2019年10月から2020年1月まで別府市で開かれたレストラン。まだ食べられるのに捨てられる予定の食材を活用した料理を提供し、フードロスの解決に取り組んだ。

編集後記

Z世代のみんなが久米さんのように社会のことを考えていれば、社会の問題も少しずつ改善されていくかもしれませんね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
若い人たちがどのようにトレンドを得ているのか、いかに個を大事にして自分の道を進んでいるのか、おじさんたちも学ばせていただくことが多くありました。

久米さん

久米彩花さんの経歴

1997年生まれ。高校までを地元の静岡県で暮らす。幼少期に知った発展途上国の現状に問題意識を抱き、高校2年生の時には途上国へ足を運び、現地の農家や企業が抱える問題を調査した。大学では長期休暇や休学期間を利用して、社会問題に取り組む企業のインターンシップや、東南アジアへ行くスタディツアーなどを企画し、精力的に活動している。2019年には飲食店の廃棄問題に取り組むため、大分県別府市でTrash Kitchenを開く。2021年1月現在はAPUの4年生だが、4月からは資源循環に取り組む企業に就職予定だ。