「ジェネレーションZ 次世代の若者の感性を探れ」
立命館アジア太平洋大学久米 彩花


「ジェネレーションギャップ」という言葉に表されるように、世代の違いや数年の差で考え方や価値観は大きく異なります。
今回は、We are Oitanのおっさんたちが、「今の若い人って何を考えてんの?」という疑問を解消すべく、インタビューを敢行!
取材させていただいたのは、立命館アジア太平洋大学4年生の久米彩花(くめあやか)さんです。エシカルファッションを切り口に、人や環境に優しいものづくりのあり方を発信しています。
1990年代の後半に生まれた「Z世代」の大分県代表として、今の若い人たちの興味や社会の捉え方を話していただきました!
Z世代の興味・関心

-早速なんですが、久米さんはどういうものに関心があるんですか?
YouTubeでオーディション動画の時から見ていました。
-YouTubeは音楽系を主に見ているんですか?
例えば、好きなモデルさんの1日の過ごし方とか、1日で何を食べているのかとか、Vlog*1系の動画です。
*1 Video Blogの略で、文字に残す一般的なブログに対し、Vlogは動画で録った映像を残すブログのことを指す。

-好きな芸能人とかモデルさんって、例えば?
オーガニック通販のものをよく買ってたり、ヘルシーな料理をSNSにアップしてて、モデルさんでありながらオーガニックとかエシカル系の情報を発信しているので、いつも見てます!
-自分の目標みたいな人の動画を見ているんですね
-テレビ世代のおじさんたちに対して、今の子たちは好きな人の生き方とかライフスタイルに共感して、動画やSNSを見ているんですね
-トレンドとかもYouTubeやSNSで見ている?
Z世代の自己発信−セルフブランディング−

-おっさん世代は恥ずかしくて自撮りしてSNSに投稿なんてすることはほとんどないんですが、久米さんは抵抗ない?
ただ、インスタとかのSNSはアカウントを分けて使っています。
-アカウントを分ける?
-セルフブランディング用はどんな使い方をしているんですか?
そういうのを分析して、投稿の内容をブラッシュアップしています。
*2 「インサイト」とは、SNSの投稿内容への反応を分析できる機能のこと。閲覧数だけでなく、投稿からプロフィールへのアクセス数なども確認できる。
-アカウントごとにメリハリがついているんですね。セルフブランディングは、どうやって勉強しているんですか?

-「フォロワーさんに見てもらいたい」って意識しているポイントは?
どんな社会問題が起きているか、どれだけ環境に影響を与えているかっていう問題意識を伝えたいんですが、それだと元から興味のある人しか見てくれないので、切り口を変えています。
-たしかに、テーマが重いというか、気軽には関わりにくい内容ですね
そもそもエシカルファッションって何?

-久米さんが取り組まれている「エシカルファッション」についても伺いたいです
例えば服を染色したり、そもそもの原料を生産するために大量の水や化学薬品が使われるのですが、自然への影響を考えてできるだけ少ない量で作れるように開発したり、オーガニック素材に切り替えたり工夫されています。
-エシカルファッションを始めるきっかけは何だったんですか?
-どんな映画だったんですか?
それこそ、コットン農家で起きている問題や、服を作っている工場で苦しんでいる人たちのリアルが描かれていました。
-問題意識を持つようになってからは、どんなアクションを起こしたんですか?

-実際に行ってみてどうでした?
そんな中で、2013年に起きた縫製工場の崩壊事故をきっかけに、ファストファッションの問題点が明るみに出たんですが、それからの5年間でどんな改善がされたのかを取材しました。

-生産現場がだいぶ変わってきたんですね
一筋縄ではいかないと言うか、パラダイムシフトが必要だと思いますね。
Z世代の個性

-Z世代って、「個」が際立っているイメージがありますが、周りの雰囲気に流されなかった?
-高校生の時から「この道を行く!」って決めるのはすごいですね
-Z世代だからなのか、久米さんだからなのか、個の存在が光っていますよね
親世代の人たちよりも私たちの世代の方が環境への意識が強かったり、自分ごととして捉えている気がします。

-国籍やジェンダーなどはどう捉えていますか?
APUだと、留学経験者も多く、逆に自分が差別的な扱いを受けたことがきっかけで、自分から発信していこうと決めた人もいますね。
-若者をはじめ、だんだんと社会問題に敏感になってきている?
-ちょっと話が変わりますが、ドラゴンボールのシェンロンが願いを1つだけ叶えてくれるとしたら、何を願います?
んー、フォロワーを100万人にしてもらうことですかね。

-お金じゃないんですね(笑)
SNSの影響力があれば、1億円をもらわなくても1億円稼げる仕事ができると思います。
-「こんな社会になればいいな」っていう願いはありますか?
平等とまではいかないんですが、限りなくそれに近い世界が理想ですね。
win-winな社会でみんなの心が豊かになればいいなって思います。

-そういう社会って素敵ですね
-今の30歳前後がミレニアル世代、そして久米さんたち20歳前後の若い方がZ世代と言われていますが、次はどんな世代がくると思いますか?

-カテゴライズしない世代ですか?
社会全体で多様性に対して寛容になってくれば、男女の性だけでなく、国籍やいろんなカテゴリーがなくなって、ボーダレスな社会になると思います。
思いつきです(笑)。

-最後に、積極的に活動されている久米さんですが、地元静岡を離れ「大分に来て良かった」と思いますか?
例えば、フードロス*3を解決するための「Trash Kitchen」*4をやろうとなった時に、食材を提供していただける方が1人いると、その繋がりで提供していただける方が増えたり、配送なんかも手伝っていただいたりで、人の温かさを感じましたね。

*3「フードロス」とは、売れ残りや食べ残し、期限切れ食品など、本来は食べることができたはずの食品が廃棄されること
*4「Trash Kitchen」は2019年10月から2020年1月まで別府市で開かれたレストラン。まだ食べられるのに捨てられる予定の食材を活用した料理を提供し、フードロスの解決に取り組んだ。
編集後記
Z世代のみんなが久米さんのように社会のことを考えていれば、社会の問題も少しずつ改善されていくかもしれませんね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
若い人たちがどのようにトレンドを得ているのか、いかに個を大事にして自分の道を進んでいるのか、おじさんたちも学ばせていただくことが多くありました。

久米彩花さんの経歴
1997年生まれ。高校までを地元の静岡県で暮らす。幼少期に知った発展途上国の現状に問題意識を抱き、高校2年生の時には途上国へ足を運び、現地の農家や企業が抱える問題を調査した。大学では長期休暇や休学期間を利用して、社会問題に取り組む企業のインターンシップや、東南アジアへ行くスタディツアーなどを企画し、精力的に活動している。2019年には飲食店の廃棄問題に取り組むため、大分県別府市でTrash Kitchenを開く。2021年1月現在はAPUの4年生だが、4月からは資源循環に取り組む企業に就職予定だ。