新大分土地株式会社
営業部 企画担当 課長 石橋真さん

人が喜んでくれる場所をつくれば、楽しい街になる。 商店街に新たな魅力を生み出した「仕掛け人」
大分市中心街の商業地を長年支え見守り続けている、中央町の「竹町通商店街」。
現在は「ガレリア竹町」の愛称で親しまれている「竹町」の歴史は古く、明治維新前から商いを行う人々の中核となる場所だったそうです。しかし近年は老朽化や街への「人離れ」が課題にもなっていました。
そんな商店街に、新たな息吹をもたらしたのが、竹町の西口に2021年3月に誕生した「TAKENISHI TERRACE(竹西テラス)」。
周囲の商店とは全く異なる佇まいのオシャレな建物は、テイクアウトグルメが楽しめる複合施設として、竹町の新たな楽しみ方ができる場所となっています。
そしてこの「竹西テラス」のプロデュースを行った人物が、今回お話を伺った「新大分土地(株)」の石橋真さんです。
ガレリア竹町の西側の一角で、ひと際目を引く竹西テラスは人が集い、街が変わる大きなきっかけに。商店街に新たな活気を生んだこのスポット誕生の裏には、石橋さんの「楽しむ」という気持ちを大切にした空間づくり・街づくりへの、熱い想いがありました。
───はじめまして! 今日はよろしくお願いします。石橋さんは新大分土地さんでどんなお仕事をされているんですか?
弊社は不動産屋(もっと簡単に言えば貸しビル屋)ですが、私自身は仲介業務よりもビルの管理・運営や、自社のホームページ(新大分土地ホームページ)運営のために文章を書いたり写真を撮ったり、企画的なことを中心にやっています。
───石橋さんが「新大分土地(株)」さんに入社したきっかけは?
大分の大学で建築を学んだあと、就活をしているときから新大分土地のことは知っていて、ホームページも好きでよく見ていたんです。当時から、一般的な不動産屋さんとはちょっと異なる視点やテイストをもつ会社だなぁと興味をもっていました。そんな思いもあって、就活時はホームページなどで求人が出ていないかチェックしたりもしましたが、その時は新卒募集してなくて。紆余曲折を経て福岡の不動産会社に入社し、福岡のマンションのデベロッパーを1年間ほどしていました。しかし福岡にいるときも、やっぱり新大分土地のホームページは面白くてチェックしていて。ずっと気になっていたんだと思います。
それで、いつものようにホームページを見ていたら「社員募集」のバナーを目にして。「もうこれは行くしかない!」とすぐにメールで応募し、今に至ります(笑)。
───なるほど、じゃあずっと興味があった会社に、思いきって志願されたわけですね。素晴らしい行動力!

入社して間もない2009年、中央町の「wazawaza」ビルの立ち上げの一員として関わらせてもらいました。当時、周囲の人のなかには「なんであんな竹町の端っこの物件買うの?」という意見もあったそうですが、弊社の社長が当時から「竹町のこの場所には可能性がある」と思い、それまでになかった新しいスタイルとテイストの空間づくりに取り組みました。私自身はその時まだ、入社して間もなくて右も左もよくわからないような状況でしたが、スタッフや関係者の人たちにサポートされながら、古い物件をリノベーションして心地よい空間をつくる、ということの面白さを初めて体感しました。
───オープンした当時、竹町にオシャレで面白いスタイルのビルができたと、話題になったのを覚えています。
ありがとうございます。おかげさまでオープンしてから10年以上たった今も、「わざわざ足を運びたくなる」ような魅力のある店舗が多く、レンタルスペースもいろんなカタチで利用されています。
───さらにwazawazaビルの目の前にある「TAKENISHI TERRACE(竹西テラス)」は、石橋さんが全体的にプロデュースされたと伺いました。その経緯を教えてください。
竹西テラスのある場所にはもともと、6階建ての古いビルが建っていたんですが、老朽化が進み取り壊さないといけない状況でした。ビルの解体後、土地を維持するためには駐車場にしていくという選択肢は外せなかったのですが、敷地全部を駐車場にするのが本当に商店街のためになるのか?という疑問が浮かんできました。
私たちはかねてから「商店街や中央町のために何か役に立つ使い方はないか?」と考えていたので、アーケードと駐車場を単に壁1枚で仕切るのではなく、心地いい場所をつくってみてはどうか、というのが竹西テラスのプロジェクトのきっかけでした。
───白を基調した空間や緑を眺めながらのテラス席。商店街の一画とは思えない、居心地のいい空間ですよね。グッドデザイン賞も受賞されたとか。
グッドデザイン賞を2022年に受賞しました。プロジェクトのコンセプトのひとつに「商店街のなかに緑のある公園っぽい場所をつくりたい」というのがあったので、光がたっぷり入って緑や風が感じられるつくりにしました。実際に入居する店舗も最小限のテイクアウトの店舗のみにし、テラス席でゆっくり自由にくつげる施設にしたいと考えてました。


───建物のネーミングにも想いが詰まっていそうですね。
テラス席のある建物という意図と、所在地である「竹町の西口」を希望で照らしていける場所に、という2つの想いが込められています。これもプロジェクトチームのメンバーでアイデアを出しながら決めました。
───完成までに特に大変だったこととかはありましたか?
ちょうど建設が始まったころはコロナが流行っていた時期で、正直「今から建設をすすめていいのか」と悩んだことはありました。その時、現在入居してくださっている「nicoドーナツ」「弥生たかはし」「YOAKE COFFEE」の3店舗に入ってもらうことはすでに決定していたんですが、コロナ禍でみなさんに本当に運営してもらえるか少し不安でした。
でも、3つの店舗さんが「ここまで練ってきた構想だから、やりましょう!」って言ってくださって。この言葉は私を後押ししてくれましたし、勇気づけられました。
竹西プロジェクトに限らずなのですが、私たちは基本的にただ建物をつくって、スペースを貸してという流れの仕事はしていません。何か楽しいことをやりたいという人が志をもって入居してご商売をされ、その楽しさに引き寄せられるように人が集まれば、街も人も楽しくなると思うんです。
なので今回、竹西テラスへ入居してくださった3つの店舗さんにも「一緒に竹西テラスをつくりませんか?」というお話をさせてもらいながら、チームとして進んでいきましょう、という感覚をもって取り組みました。

───単に空間を貸す人、借りる人という概念ではなく、「一緒につくる人」っていうスタンスがいいですね。それにしても今、お話しを伺っていて思ったのですが、石橋さんのお仕事って「不動産屋さん」の枠を超えてますよね(笑)。
はい、自分でもそう思います(笑)。不動産業界の、バリバリの営業マンとかいうタイプとは全く違いますから(笑)。
街の人を中心に、これまでたくさんの人と繋がらせてもらって、最近は不動産の相談以外のことも多くて。例えば「こんな個展したいんだけどどうしたらいいと思う?」とか「イベントをするんだけど手伝ってもらえたら」とか。不動産仲介業とは全く関係ない相談ですよね(笑)。でも、もともと入社する前から、建物や空間を通じた街づくりには興味があったので、「何かやりたい」という人からの相談はスルーできないのが、自分の性分なのかもしれません(笑)。
───新しいことを生みだす石橋さんのお仕事、どんなところが魅力ですか?
新大分土地に入社して14年になりますが「wazawaza」や「TAKENISHI TERRACE」での経験を通じて思ったのは、不動産業は人の流れを変える仕事だなということです。自分が関わらせてもらった空間や建物に人が集まって、「なんか楽しそう」「面白そう」という気持ちを感じてもらえて、さらに街自体にも新しい流れを生み出すことができるのは、この仕事の一番の面白さかもしれません。
実際、最近竹町通商店街でも、若い世代の人たちが歩いている姿を多く見かけるようになりました。そういう場面を目にしたときは、やっぱりうれしくなります。
───新たな「街なかの心地よい場所」として、認知されてきている証ですね。今後、さらにやっていきたいことなどはありますか?
賃貸物件ってもう単にビルをつくって、貸してっていう時代ではなくなってきてると思います。なにか他の物件とはちょっと違う個性を見せていく時代だと思うんです。「竹西テラス」もそうでしたが、古くてどうしようもない場所に思えるところにも、必ずなにか魅力があるので。竹町西口エリアには古いけれど、生まれ変わったら面白くなる場所がいっぱいありますし、今後もその場所の魅力を活かせるような、賃貸マンションをつくる構想も持ち上がっているので、そういったプロデュースもやってみたいです。
───竹町に、また新たな景色がみられるのかもしれないですね。楽しみです! 期待しています(笑)。
何かみなみなさんの度肝を抜くようなことを、これからも企画できたらと思っています。
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