大分市

ボレロ食堂 代表
篠原 健士(けんし)さん

#お弁当 #パッケージデザイン #食

その土地で採れたモノを
その土地の人に食べてもらいたい

コロナ禍により外食産業が営業形態の変化を余儀なくされる。飲食店が真っ先に取り組んだのがテイクアウトやお弁当販売。そんな中、こだわりのお弁当で女性に人気の「まご弁」を売り出し、多くのファン獲得している府内町のボレロ食堂の篠原健士さんに食についてのこだわりなどを聞いてみました。

───早速ですがボレロ食堂さんの「まご弁」、大人気だそうですが、どのような内容のお弁当なんですか?

「まご弁」は、ま(豆)・ご(ごま)・わ(わかめ)・や(野菜)・さ(魚)・し(しいたけ)・い(いも)。の7種の食材を全て詰め込んだ弁当です。ご存じかもしれませんが、日本の伝統的な食材の頭文字を合わせた合い言葉みたいなものです。カラダに必要な栄養素があり、それでいて低カロリーという理想的な食材7種なんです。
この7つの食材にお肉とデザートを入れて9品のお弁当にしています。
7つの食材を使うことはお約束にして、月替わりで調理方法や味付けを変えて提供しているんです。

───何度か食べさせていただいたことがありましたが、「まご弁」ってそこから来てたんですね。知りませんでした…。

食材はすべて大分のモノにこだわり、地元で収穫されたものを新鮮なうちに調理し、お弁当に詰め込むようにしています。魚も捌くとこからやってます。
地産地消って、例えばイタリアだったら「スローフード」。韓国だったら「身土不二(しんどふじ)」という意味合いの近い考え方があって、長く暮らしている土地で作られた食べ物を食べることがもっとも身体によいということなんですよね。大分の野菜、魚、肉、その新鮮さに勝るものはないと思っています。

その月のおかず9品+ご飯

───「まご弁」の誕生はコロナ禍での営業形態の変更が始まりだったんですか?

まだコロナが流行する前、それまで一緒にやってきた社員が独立のため退社したんです。それを機に昼のランチを止め、夜の貸切パーティーだけ受けつつお弁当を作ろうと舵を切ってたんです。そこにコロナの流行が…。
お弁当作りに集中できたし、スタートも早かったのは今思えば不幸中の幸いですかね。

───そうだったんですね。そんな「まご弁」が生まれてから3年が経ちますが、最初の頃と今とを比べて変化などありますか?

コロナ前まではお店でのランチや夜のパーティーの営業でしたから、温かいものを温かいうちに提供するといったものでした。その流れでお弁当販売をはじめたので、最初はおいしいと思うものをお弁当に詰めちゃえって感じでしたね(笑)
今はまったく逆の考え方で、まず冷めてもおいしいもの、おいしくなる調理法ってなんだろうって逆算して作ってます。

───では、篠原さんの「おいしい」ってどのようなものなんですか?

例えば、一食の中で、甘いものがあれば辛いものもあり、食感のしっかりしたものがあれば、ジューシーで柔らかなものもあるといったように、味や食感に幅があることが、僕の「おいしい」ですかね。
みなさん、自分の「おいしい」って基準がはっきりしていないと思うんです。この料理が好き、どこどこのお店のこのメニューが好きっていうのはあるかもしれませんが、なぜこれが好きなのか?って答えられる人は少ないと思うんです。お弁当作りにもお客さまの感想などはもちろん参考にさせていただきますが、今は自分の「おいしい」を突き詰めて、ちゃんと言葉にできるようになりたいと思っています。

───なんだか哲学的ですね〜。2010年、府内町でカフェスタイルのボレロ食堂をオープンされた当初から食に対してはそのような考え方だったんですか?

妻が薬や手術といった西洋医学ではなかなか完治しない難病を抱えてて、そんな中、東洋医学を元にした食事療法で病気が改善している人がいることを知り、ずっと食事療法を続けているんです。今の食に対する考え方はそういうこともきっかけとしてはありますかね。
ただ、僕は小さい頃から、スーパーやコンビニのお弁当があまり好きではなく、おいしいものを食べたいという気持ちは人一倍強くて。おいしいものが食べられないなら、食べなくてもいいやってくらい(笑)一食一食の価値を大切にしたいと思っています。
だから、カラダに良いというのは大前提ですが、その上で自分の「おいしい」を提供したくて段々と今のようなスタイル(提供する料理)に変化してきたと思います。

───今後どのように事業を展開していくつもりなんですか?

大分県だけじゃなく九州の人だったり、関西や東京の人だったり、自分の作ったお弁当をもっと多くの人に食べてもらいたいと思ってて、ずっと大分で過ごしているので、自分の現在位置を知りたいっていうのもあって。去年久留米で開催されたイベントに出店したんですが、たくさんの人にお弁当を買っていただいて、そういったポップアップ的な出店を足がかりに全国に出て行きたいという野望はあります(笑)

それからもう一つ、スポーツと食を組み合わせた事業をやってみたいですね。
小さい頃からずっとスポーツをやっているのもあるんですが、一度フルマラソンに挑戦したことがあるんです。走っていくうちに自分の中のエネルギーが枯渇していくのがすごくよく分かって、そこで自分の体は今何を欲しているんだろうって考えたとき、それは塩だったんです。
ポテチでもケーキでも梅干しでもなく、塩。
体に負荷がかかっていない状況(日常生活)ではあまり気にしてなかったんですけど、負荷がかかった時、何を体に取り入れるかってすごく大切なことだと思って。自分の子どもたちもサッカーをやっているので、日常的に体に取り入れた方が良いものを食べさせたいなと思うようになりました。まだまだ勉強中ですが、自分の得た知識をいろいろな人と共有しながらスポーツをする人たちに有効な料理を作りたいし勉強したいと思っています。

───そういえば、「まご弁」はパッケージもとてもお洒落ですね。

パッケージも毎月装いを変えて。

ありがとうございます。「まご弁」には「たべるヲ贈る」というコンセプトもあって、お弁当といえばプラスチック容器にビニール袋みたいなイメージが一般的ですが、ケーキ屋さんのように綺麗にラッピングして贈り物としても使っていただきたいと思い毎月デザインも変えているんですよ。
久留米のイベントで、お越しになった佐賀県の方からの依頼で、今年4月にオープンするお弁当やさんのパッケージの監修もお願いされているんです。

───次は贈り物として購入させていただきます!

JOIN – ご自身の情報

ボレロ食堂
大分市府内町1-1-14 府内パーキングビル2F
HP
Instagram

share

share