slow food_YAMAGA
MD 吉田雄作さん・吉田留衣子さん

「山香町=オーガニックな町」
ここからはじまる可能性を感じました。
2023年3月26日(日)にグランドオープンした「slow food_YAMAGA」(スローフード ヤマガ)は、オーガニック食品、地産品などが揃うオーガニックグローサリーストア。その店舗運営を担う吉田雄作さん、留衣子さんご夫婦に、オープンを目前に控えたお忙しい中、お話しを伺いました。とても自然体なお二人の自然体なお話はとても興味深いものでした。
───オープンまであと数日というお忙しい中、ありがとうございます。
そもそも吉田さんご夫妻はここ山香町に移住されたと伺っていますが。
※2023年3月20日にインタビュー
雄作さん
そうなんです。福岡県の北九州市から妻の実家のあるここ山香町に移住してきました。
福岡ではオンラインで古着の販売をしていたのですが、ネット販売では数字(売上)だけを追いかけるような生活で、お金を稼ぐということだけにベクトルが向いてたんです。で、ある程度まできたときにそこに全然満足感がないことに気づいて…。山香町には20年ほど前からよく遊びに来てたんですが、お義父さんが、孫たちの遊び場になったらいいなと実家の裏山の竹を切り、ひとりでコツコツ開拓されてたんですね。ある時、その裏山から見える由布岳の景色を見て、不意にここに住みたいなと思って。
僕はずっとサーフィンしてたので、海のない所に住むなんてこと考えてもみませんでしたが(笑)。海と山、全く正反対ですけど吸い寄せられました。
それで、今はそこに家を建てて住んでます。
───お義父さんがコツコツ開拓された土地に家を?
留衣子さん
その頃、父が体調を崩していて、開拓した土地の手入れもいきとどかず、草も伸び放題な感じだったんですけど、週末に帰ってきて草刈りをしたり、建てる家の打合せをしたりしました。そこで、水道がないと家も建てられないってなって(笑)。じゃあ水は井戸を掘ろうということになったんですが、今度は井戸掘るための機械を運べる道がないって(笑)。
それまで移住なんて本気で考えてもなかったからそんなに貯金してるわけでもなかったので、道を作るための整地作業は友人と一緒にユンボを借りて遊びながら作ったり、家もある程度まで大工さんにやってもらって、壁を塗ったりとか自分たちでできることは自分たちでやったんです。井戸から水が出た時は本当に感動しました!
───大変そうですが、充実もしていたんでしょうね。そこから、「slow food_YAMAGA」の運営を任されるまでの経緯を教えてもらえますか?
留衣子さん
東日本大震災の年、子どもが生まれたんですが、食品への放射能汚染の問題などに触れて食に関する問題に意識が向いていきました。その頃からオーガニック食品に興味が湧きいろいろと情報を集めたり購入したりするようになっていったんです。
オープンする「slow food_YAMAGA」のオーナーでもあり、神田楽市の社長でもある斉藤さんと知り合ったのはこちらに帰ってきて少ししてからで。斉藤さんもオーガニックな食品の販売を神田楽市で展開したいと思っていらしたんですが、その頃は私たちがそこでショップの運営をするとは思ってもみませんでした。
雄作さん
もともと、移住してくる前から、山香町にオーガニックショップを作りたいなというのは漠然と思ってたんですが、なかなか前に進んでなくて、当初は家の横に立てた小さな小屋でオーガニック食品の販売を少しずつ始めてたんです。
戻ってきて1年くらいした時かな?斉藤さんにお会いする機会があって「もしよかったら神田楽市の中でショップ作りを手伝ってくれないか」って言われたんです。そこからはもうトントン拍子でいろんなことが進んできました。

───「slow food_YAMAGA」って具体的にどんなショップになりそうですか?
留衣子さん
「畑から食卓へ」をテーマに地元で丁寧に育てられた食材やオーガニック商品、化学肥料不使用のアイテムなどをセレクトして販売します。ほとんどが地元のもので、それに加えて国内外からセレクトしたナチュラルワインも揃えています。あと、東京、青山の旗艦店をはじめ全国展開するオーガニック専門店「ナチュラルハウス」のPB商品も九州で唯一取り揃える予定になっています。店内にはコーヒーを飲んだりできるイートインスペースもあって、地元の人たちのくつろぎやコミュニティの場としても活用して欲しいと思っているんです。
───オーガニックなものを集めるのって苦労はなかったですか?
全然ないです(笑)自分が欲しいもの、食べたいものをどんどん集めていってる感じで。

───「slow food_YAMAGA」にはどんな人たちに来て欲しいなどご希望はありますか?
留衣子さん
どっちかというとないです(笑)
今までオーガニックショップって、そういう意識が高くないと入りづらかったりしたと思うんですよね。もちろんそういう人たちにも来て欲しんですけど、もっと間口を広げて近所の方々に気軽に来店して欲しいと思っています。オーガニックが特別なモノや、コトではなく、日常の中に普通にある感じになればいいなと思っていて。
それに今まで大事に大事に野菜など作ってても、ただ値段が高いと思われたりする農家さんも多くて、ちゃんと手間暇かけて作れば、もっと報われるんだっていうことを知ってもらえたら、地元の農業も変わっていくかなって思っています。
───「slow food_YAMAGA」を中心にいろいろなコミュニティが広がりそうですね。
雄作さん
普通のスーパーにはしたくなくて、食品だけでなく、雑貨だったり、植物だったり、複合的なライフスタイルショップになったらおもしろいなって考えてます。
ギフトの需要にも応えたいですね。おばあちゃんたちが、子どもや孫にちょっといい食品を贈ろうかって感じで来て欲しいですね。
それから地元の若い子たちが、ここで働きたいというようなショップにもしたい。

留衣子さん
モノを売るということだけでなく、ここをきっかけにして町全体に好循環が生まれるといいなと思うんです。この町では何でも作ることができるんです。自分たちで作って消費する。それができる町なので、ここに住む人たちがそういうことに興味を持ってもらえる場所にしたいと思っています。
まだまだ、飲食店も本屋さんもお花屋さんも少ない町なんですが、芸術家や素敵なカフェ、宿などをされている人たちはたくさんいます。そんな人たちとも協力して町を盛りあげたいですね。
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