株式会社 西石油グループ
別府ラクテンチ
代表取締役社長 西貴之さん

開園100周年に向け
唯一無二の別府観光のシンボルを目指していきたい
「ゆりい、ぬりい、懐かしい!」のキャッチフレーズでお馴染み『別府ラクテンチ』。急勾配のケーブルカー、名物のアヒル競争、昔から変わらぬアトラクション…。レトロ感満載、若者風にいうなら「エモい」魅力満載、大分県民なら誰しも懐かしい思い出が蘇る場所でもあります。
今回は、戦前昭和4年に開園し、来年95周年を迎えるラクテンチの社長・西さんにお話を伺いました。事務所にずらりと飾られた、野球やラグビーのユニフォーム。これにも理由がありそう…。
大分人なのに、まだまだ知られざるラクテンチの話が満載! 春を楽しめる情報もお届けします。
───西石油グループがM&Aでラクテンチの経営を始めて6年目。遊園地の社長を務めることに、当初戸惑いはありませんでしたか?
よく聞かれる質問ですね(笑)。うちの会社の事業内容は、全てサービス業。石油・車関連、観光宿泊施設、和菓子事業、スポーツ施設の管理などを行っていますが、どれもエンドユーザーさんを直接お迎えするサービス業なので、お届けする商品が違うだけだと思っています。だから違和感はありませんでした。「県内外のテーマパークや観光施設と差別化を図るため、「地元を大事にせんじどげぇすんの」という当初のキャッチフレーズを常に意識しています。生まれ育った街の主力産業で地域に貢献したいとラクテンチの経営に手を挙げ、観光業に進出したので思い入れも強いです。
───ところで…気になってるんですけど。このサイン入りユニフォームは野球の内川選手ですね! ラグビーのユニフォームもたくさんありますね。
内川選手とはご縁あって、今では相方みたいな存在で仲良くさせてもらっています。ラグビーのユニフォームは、僕が高校、大学とラグビーをやっていたこともあり、ラグビーで成長させてもらったのでその恩返しができたらと、ラグビー関係の活動をしています。大分で開催されたW杯の際はキャンプ地の誘致活動もしました。今は、日本代表や各チームの合宿の誘致もしています。宮崎県がWBCで盛り上がりましたよね。観光ツーリズムはもちろんですが、温泉にも恵まれているのでスポーツツーリズムの可能性も感じています。ツーリズムのバリエーションを増やしていけば、もっと街が成長していけると感じています。
───やっと落ち着いてきましたが、ラクテンチもコロナ禍の影響はありましたか?
コロナ禍の影響で閉園を余儀なくされた時期もありました。でもラクテンチの来園者は地元の比率が高いので、お客様が戻ってきてくれるのが早かったんです。そろそろどこかに出かけたいと思っていた地元の方の需要を取り込めたからだと思います。地元のお客様が増えれば観光客も増えると考えているので、リピート率が上がるよう話題作りに取り組みました。具体的には、春は花見、夏は夏祭りに花火、秋のハロウィンや冬のクリスマス、お正月と季節ごとの催しものを提供してきました。それが少しづつ認知されリピーターが獲得できたと思います。メインターゲットは小学生以下のお子さんがいるファミリー層ですが、そこばかり追い続けていると、いずれ入場者数減少が想定できます。よりターゲットを広げ、小さなお子さんからご年配の方まで、誰が来ても楽しめるような工夫が必要だと感じます。
───ラクテンチの名物といえば、春の桜! これから見頃を迎えますね。
3月18日から桜まつりを開催しています。経営を引き継いだ時、桜が楽しめる積極的な取り組みはしていなかったんです。園内の電気配線もなかった状態だったので、夜桜が楽しめるよう配線を引き直し、花見シーズンの夜間営業も復活させました。園内でも、日当たりのいい場所とそうでない場所で桜の開花時期は1週間ぐらい差があるんですよ。ぜひ足を運んで春満開の季節を楽しんで欲しいですね。

───今後、どんなラクテンチを目指していきたいですか?
社内では常々「ディズニーランドやUSJにはなれないけれど、唯一無二のラクテンチを目指してファンを増やしていかないといけない」と話しています。うちにしかないもの「歴史」「景観」「温泉」。この3つがある遊園地は全国どこを探してもないので、唯一無二の存在になれると思っています。四季折々の花が咲く園内で、アトラクションに乗り、温泉に入って、季節ごとのイベントが楽しめる“大きな公園”のような存在でありたいです。季節感、歴史、風情を感じられる、皆さんにとって、より身近な観光施設であれたらいいなと思いますね。
───ほんとですね! 温泉に入れる遊園地なんで他にはないですもんね。ケーブルカーもラクテンチのシンボルですよね。
実は、ケーブルカーはアトラクションじゃなくて鉄道なんです。だからうちは鉄道事業の運営会社でもあるんですよ。例えば、鉄道マニアの人が九州の鉄道を制覇しようと思ったら、うちのケーブルカーにも乗らないといけないんです(笑)。昨年、九州運輸局長より無事故表彰も受けました。避難訓練もするんですよ。
───えーーー!そうだったんですか!! 知らなかったです。もともとここは鉱山だったと伺いましたが。
私も自分が経営するまで知りませんでした。この山では良質の金銀が発掘できていたらしいんですが、温泉の噴気が激しく作業できなくなり、あえなく閉山したそうです。その際、この山に子どもたちが楽しめる場所をと遊園地とケーブルカーを作ったのが始まりです。私の父でもある会長が学生の頃は、鉄道として通勤、通学する方が多く、山の上の乙原地区の人たちが街に出てくる交通手段だったそうです。つい10年前くらいまで、実際に交通機関として利用されている方がいらっしゃいましたよ。
───今後、なにか計画していることなどはありますか?

事業再構築案として、イベントホールや演芸場の整備を検討しています。昔は少女歌劇団が公演していたレトロなホールなので、なかなか他にはないと思うんですよね。イベントホールは1000名ほど、今使われていない演芸館は400名ほど集客できるので、用途によって使い分けられる場所にしたいと考えています。歴史ある施設を大切に、うちにしかできない催し物をやっていけたらと思っています。
それと、20年ぶりにゴーカートを復活させます! 私自身がゴーカートが大好きで絶対に復活させたいと思っていたんです。車も新調して、路面整備も行い、3月25日からスタートしています。今後は「温泉」と「景観」を活かした「絶景の湯」のリニューアルを計画しています。
───お仕事をしている中で、喜びを感じるのはどんな時ですか?
やっぱりお客さんが笑ってくれているのを見るのが一番嬉しいですね。まずは私たち従業員が楽しくなる施設を作ることが、お客さんの笑顔につながると思っているので、常にその気持ちを大事にしようと心がけていますね。
───社長は生粋の別府人なんですよね。地元愛を感じます。
大学4年間は関西に出てましたが、あとはずっと別府です。小さい頃はよくラクテンチに連れてきてもらっていました。アルバムを見るとたくさんの写真が残っていて、僕自身にとってもたくさんの思い出がある特別な場所です。ここの経営に乗り出した当初は不安もありましたが、力になったのは多くの方がラクテンチの思い出を語ってくれたこと。「修学旅行に行ったよ」とご年配の方からもラクテンチの話が出て、これってすごいことだな…と。
地獄めぐり、うみたまご、ハーモニーランド、城島高原パーク、アフリカンサファリと、近隣市町村でこんなに観光施設が固まっている地域は他にないんですよね。日本一、世界一を誇る温泉を武器に、恵まれた観光資源で街をさらに盛り上げていきたいですね。
───5年後にはラクテンチ100周年。100年ってすごいですよね…。

100周年に向けて、まずは来年の95周年をしっかりと迎えたいです。来年は別府市政100周年でもあり、それぞれが節目だということにも縁も感じます。僕、油屋熊八が好きなんです。別府観光の大事な基盤を作った方。今、この立場になって改めてすごいことをやった人なんだなと感じます。彼の先祖は油屋さんで、それで苗字が「油屋」になったそうです。僕の場合、今も油屋なんですけどね(笑)
───現代の油屋熊八ここにあり! じゃないですか(笑)
いえいえ、足元にも及びませんが(笑)95周年、100周年を目指して頑張りたいと思います。まずは春爛漫のラクテンチに遊びにきてください。優勝者には宿泊券のプレゼントが当たるインスタフォトコンテストも開催するのでぜひ参加してください!

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別府ラクテンチ
https://rakutenchi.jp/
桜まつり 3月18日(土)~4月9日(日)
夜間営業 3月31日(金)~4月2日(日)予定