表現を楽しむOitan

「世界?そんなんチョロいっしょ!?(笑)」
未来思考型芸人・ダイノジ、大分・世界・宇宙を語る

お笑い芸人ダイノジ

2022.03/30

 結成29年目になる芸人・ダイノジの大地洋輔さんと大谷ノブ彦さん。佐伯市出身の同級生で、その出会いは中学時代に遡ります。1994年にコンビを結成し、お笑いはもちろん、2005年からはDJダイノジとしての音楽活動など多岐にわたって活躍しています。先日佐伯と別府で2日間行われた漫才ライブのほかにも、トークライブや映画会開催など大分県内での活動も目立つお二人に、結成秘話からコロナ禍での活動状況、未来の展望などをお聞きしました。

▲「ダイノジ×エイトブリッジ2マンLIVE 大分凱旋漫才ツアー」佐伯公演昼の部の一コマ

街のカリスマ(⁉️)大地と、大谷の出会い

―お二人の出会いは中学校?

大谷

 中学の同級生ですね、中3の時に同じクラスで。当時大地さんは街のカリスマだったんで。

大地

 ハハハ!(笑)。それいつも言ってくれるけどさ。

大谷

 大地さんはオリジナル●●●●(下ネタにつき非表示 汗)を発明して、街で流行らしたんです。それで一躍カリスマになったんですよね。

一同爆笑

大地

 そんなん書けるか!!(笑)

※その後、大地さんが流行らせたという斬新な発明の説明が続く。佐伯市が局地的なオイルショックに陥ったとかいないとか。

大谷

 そんな街のカリスマが出席番号3番で僕が2番だったんで、(席の)後ろにいるってことでだいぶ緊張しましたね。僕はコミュ障だったんで、校内でも一大勢力だった大地軍団に入れてもらい、軍団の末端で使いっぱしりをしていました。

―高校は別々でしたが、当時も一緒に遊んでいたんですか?

大地

 いや、遊んでないですね。

大谷

 遊んだのは最初だけ。僕の中で大地さんは、面白くて、みんなに慕われていて、笑いが第一優先の男だったのに、急に異性を気にしだしたんですよ。

大地

 (笑)そらそうなるでしょ!思春期だし。

大谷

 髪型も全っ然似合わない、こんな長い感じの茶髪にしてて。で、彼女を連れ回して仲町っていう佐伯の商店街をイキって歩いてる姿を見て幻滅して…。

大地

 お前の中に大地像ができあがり過ぎてんだよ!僕も高校行ったらモテたいし、彼女も欲しいよ。それを「大地のくせに」ってさぁ(笑)。

大谷

 俺だって彼女いなくてストイックな高校生活を送っていたのに、一人だけ裏切って。メガネも銀縁のが頬の肉に食い込んでたのに、シュッとした黒縁になって。すごく嫌だったの!(笑)。だから高校時代は顔も見たくないって感じで。

大地

 僕も友達から「大谷が、『大地が変わった!』ってすごくキレてる」って聞いて。意味がわかんねぇよ!って(笑)。じゃあ俺もいいよ!って、そこから完全に疎遠になりましたね。

大谷

 僕も高校が進学校だったんで、だんだん東京(の大学)に行きたいなって気持ちになって、完全に大地のことは忘れてましたね。で、東京に出てきて、風の噂で「大地も就職で東京に来てる」って聞いて。愛憎っていうんですか?逆に気になっちゃって。

大地

 (笑)なんだよそれ。俺も「大谷が大学で来てるぞ」って聞いたんです。

大谷

 大学1年から、夜中に銀座の東急ホテルってところでバイトしてたんですけど、実はその隣のホテルで大地さんが働いてて。で、銀座の3丁目辺りでたまたま再会したんです。その時は「やっと会えた!」みたいなノリで。

大地

 再会した時は、別によそよそしくはなかったですよ。当時僕は、ちょうど仕事を辞めてフリーターでした。

大谷

 大地さんに「将来の夢とかないの?」って聞いたら、真っ直ぐな目で「ないねぇ!」って(笑)。それがちょっとかっこよくて。当時の僕は、お笑い芸人になりたいけど人に言えなかったんで、大地さんをすぐ(芸人に)誘いたかったけど、お笑いの本とか読んでたら「A型がB型を誘わないと売れない」って書いてあって。俺はB型で大地さんはA型なんで、とにかく大地さんに誘わせようと、「吉本の劇場あんだけど、どうする?」って。「どうしたい?」「え? 観に行きたいの?」「やりたいことないでしょ?」「俺たち二人だよ? 可能性あるじゃん」「どうしたいのよ?」って誘導して。そしたら大地さんが「オーディションあるから受けてみる?」って言うから、「じゃあ、その話乗った!」って(笑)。

大地

 結果、俺が誘った形になって(笑)。詐欺ですよね、完全に。

大谷

 で、腕試しにオーディションを受けてみようって、銀座の吉本の劇場に行きました。吉本にはなんの思い入れもないんですけど、近かったから。

大地

 ちょうど吉本でオーディションをやってて、たまたま受けたら受かったっていう。そこからもう29年目ですよ。

▲インタビュー中、大谷さんの話に爆笑しっぱなしの大地さん。仲良し!

いまだ満ち溢れるやる気!
あがくことこそ、カッコイイ!!

―29年間、いろんなことがあったかと思いますが、今のコロナの現状ももう3年目になります。この期間の活動で一番変わったこと、逆に新しくチャレンジできたことなどありますか?

大地

 改めてですけど、大谷さんの凄さを知るというか。コロナで活動ができなくなって、「じゃあ新しい配信とかYouTubeをやってみよう!」って、すぐ動いてくれたんですよ。僕一人だったら、絶対できない。なんで、すげぇ行動力だなって思ったし、感謝しましたね。

大谷

 僕たちは結成して年数が経っているから、賞レースにも出られないんです。今までは、NGKみたいな大きな劇場でトリを務める芸人さんが頂点ってイメージだったんだけど、このコロナ禍で配信がどえらいことになっちゃって、配信のパイを持ってる奴がすごいみたいな。これ、めちゃくちゃ大切なことで、額が違うんですよ、何千万とか何億とかの話になる。そういう人って賞レースの常連組が多くて。今から俺たちがYouTubeを始めてもすぐにパイは増えないし、配信も急には売れないんですよ。なので、1件ずつ「観ない?」ってお願いして回って。でも、こんだけ集まったらこんだけ(金額が)いくんだなってわかるから、それがめちゃくちゃ楽しいですね、僕は。

 やりたいことは明確で、「ダイノジを続けること」なんです。そのためにYouTubeを通じて自分達の汎用性を試しているというか。ジャニーズを語ったらどうなるかなって試したら、多くの人が観るけど短時間だなとか、宇多田ヒカルさんのときはこんなに数字がいって、しかも本人が観てくれたんだとか、ユニコーンさんは自分から出たいって言ってくれて夢みたいだなって、いろいろ発見している感じ。ライブも、若手が何千万って話をしているところに、100枚売るのに必死とかカッコ悪いからって中堅は告知しないんですよね。でも…それがイイっすよね(笑)。今、めちゃくちゃいい。あがくって最高!って思う。ちゃんと頑張るとちゃんと結果が返ってくるし。なぜかやる気はずーっとあるんですよね。

―YouTubeで、特に観て欲しい回ってありますか?

大地

 俺、個人的には中日の立浪監督の回(笑)。あれはマジで詐欺師的な喋りのテクニックがあったから、さらなる高みにいきましたね!

大谷

 ワハハ!(爆笑)。あの時「立浪和義はジャッキー・チェンだ!」って言い出して、「プロジェクトD(ドラゴンズ)」の話をして。ほぼ妄想なんすよ!

大地

 僕はねぇ、ゲチャゲチャ笑いましたね!(笑)。あと、新庄監督の回は本人が観てくれて。

大谷

 そうなんすよ!新庄監督について語ったら本人が観てくれて、インスタに載せてくれた。「この人たちに、僕の狙いが半分バレてる」って。素晴らしかったですよ。ミュージシャンとか結構観てくれていて、なんかいきなり招待されたり。おすすめの回は宇多田ヒカルさんかな。本当に素晴らしい歌手で、同じ時代に生まれて嬉しい。

▲インタビュー中も“舌好調”の大谷さん。マジで配信でお見せしたいレベル

詐欺師的なテクニックで
佐伯市に呼んで「エンタメカツアゲ」したい!

―YouTubeで佐伯市や大分について語っている回もありますが。

大地

 佐伯の人からもリアクションがありましたよ。外の人からも「佐伯市に行ってみたい」って言われたり。

大谷

 やっぱり僕ら詐欺師なんでね、どうにかして佐伯に来させたいっていう気持ちがありますよね!お金を巻き上げたい。

大地

 合法的なカツアゲ(笑)。

大谷

 エンタメカツアゲ(笑)。

―大分での活動も多いですよね。別府ブルーバードで行う映画会とか。

大谷

 全国何ヵ所かでやってるんですけど、大分は回数が多いかな。地震きっかけで、別府支援イベントって形からですかね。でもその前に別府の温泉祭りに参加し始めたんですよ。別府市長の長野さんが俺たちのDJイベントに来てくれたりして、めっちゃ踊ってたんですよ、ホリエモンと。それで一緒に飯食った時、「今度こんな祭りをするんですよ。別府を変えたくて」とか言うのが全部面白いから、「あんた最高だなー。俺行くわ、その祭り」って話したことからスタートしましたね。それ以降呼んでくれるし、僕らも行くし。あと俺、APUで臨時講師してるんですよ。そんなご縁もあったりで、大分自体にはしょっちゅういますね、僕は。でも大地さんはスターなんで…。たまにしか来ない。

大地

 いやいや(笑)。そう言うと「何気取りやがって」って言われるじゃない。

―昨夜は都町でイベントをされていましたよね。

大地

 そうそう、大谷さんは体調不良で来られなくて僕だけね。リクエストがあってエロトークライブを。

大谷

 エロトークライブの時の大地さんはカリスマよ!? 息継ぎしない。一度ぜひ観てもらいたい。エロいとか、そういうことではなくてもう芸術ですから!昨日ちゃんとやった?ペットボトル使って…(以下自粛)。

大地

 性教育というか、多様性を…(笑)。大分では初めてでしたが、盛り上がりましたね。やはりみんな何かを解放したいんですね、きっと。学校の先生とか多かったですよ。言われましたもん、「ぜひ小学生に教えて欲しい」って。

▲昨夜のイベントの様子を語る大地さん。内容はほぼ書けません

大谷

 日本は性教育のアップデートがマジで遅いですからね。性とお金と英語の教育は絶対変えないといけない。あ、俺、教育変えたいかも。叩けばホコリしか出ない男ですけど、教育を変えたいって気持ちはありますね。野菜を育てたり、スーパーの刺身より、釣りに行って魚を捌くところからさせたりとか、体感型の教育を。性教育だってふたをするから悪い。もっとお笑いやエンターテインメントを使ってやれる教育があると思うんですよ。子どもたちと一緒に稲刈りとかして、そこに笑いをプラスできたらいいかな。

―教育系のイベントとかもできそうですね!

大谷

 そうですね。体育とかも行進の練習より、体を動かすことが楽しいんだって教えた方がいい。そしたら大人になっても自然と体を動かすでしょ?そしたら俺みたいに痛風になったりしないわけじゃないですか(笑)。今日も足引きずってるんですけどね。

大地

 ハハハ!(笑)。

―今後、大分でやってみたいこととかありますか?

大谷

 夢はロックフェスっすね!場所はどこでもいい。でも、野外フェスがいいですね。九州で野外フェスがないのは大分だけなんで。大分初の野外フェス。大分の人に楽しんでもらうのが1番ですが、2番目は県外から大分に来て欲しい。

大地

 それこそ、大分を体感して欲しいですね。

唯一無二・宇宙レベルの旨さ
佐伯グルメ最強伝説

―YouTubeで、宇宙人への貢物を考える回があったじゃないですか。今なら大分のグルメで何を選びますか?

大谷

 やっぱ佐伯ラーメンになっちゃうなー。県外で食べられないもん。マジですごい。全国のラーメンを食べた結果、佐伯が一番旨い。あとは佐伯の「やまとや弁当」は絶対ですね。宇宙人が平伏すと思う。まずはフォルムがいい!絶対ふたが浮いてる。大地さん、これが大事なのよね?

大地

 そう!からあげ弁当はふたがちゃんと閉じてたらダメなの。開いてないと!

大谷

 閉じてた瞬間、俺たちはアウトだね。「あー、もうやる気ないな、この子」って。あと、あの強烈なニンニクの香りね。個性だよね。主張してるのにアクが強くない。なんなんすか? 逆に聞きたい!佐伯ラーメンも東京の奴を連れて行ったんだけど、店に入る前、「アレ? 嘘ですよね、この強烈なニンニクの香り」って。で、「いや、キミが今嗅いでいる、これが現実だよ」って。ここまで強烈な個性があるのに、食べた瞬間みんなが「…旨いっすね!」ってなる。個性があって大衆性があるって最高じゃない?俺この町で育ってマジ誇りに思いますね。

大地

 今も、早く佐伯ラーメン、食べたいっすもん!

大谷

 このインタビューが終わる頃、ちょうど17時になるので「南国」の一発目に行ってきます!

―「南国ラーメン」が一番ですか?

大地

 いろいろあったけど、なくなったんですよねー。「香蘭」、「遊楽」とか…。

大谷

 結果「南国」って、錦鯉(M-1グランプリ2021優勝者)みたいなもんなんですよ。続けてきた人だけが最後に勝ち得る栄光というか。「こーんにーちはー! なんごくラーメンでーす!」って感じですよね。

大地

 やっぱ応援しちゃうよねー。「南国ラーメン」はエモいね。

大谷

 いまだに店に置いてあるの少年サンデーだもんね。漫画が。ジャンプでもマガジンでもなく。高校の時、南国で「うっちゃれ五所瓦」を全巻読んだもん(笑)。

※少年サンデーで1988年から1991年まで連載された、高校相撲のスポ根漫画。

 ほかにも干物や寿司や塩麹など、言い出したらキリがない。だから俺、佐伯のものでカツアゲしたいですもん。みんなを佐伯に泊まらせて、旨いものを腹一杯食わせて、お金を落とさせる。もしくはふるさと納税とか通販とかで佐伯のものを世界に売る!

世界はちょろいッス。
ダイノジのDJで世界を踊らせろ!

―宇宙より先に世界ですね。

大谷

 そうです!そんなに難しくないんですよ、世界は。俺はなんとなく分かった(笑)。

―(大地さんの)エアギターもありましたしね。

大谷

 俺近くで見てるでしょ?世界一?大したことねえッス!ちょれぇッス!

大地

(爆笑)

大谷

 世界って昔はめっちゃ遠かったけど、エンタメで言うなら、資本家が投資するのはやっぱアメリカで。日本のバラエティーの理屈だと、綾部(ピース)のことをいじって茶化すけど、1回でもNetflixの映画で日本人の役で出たら、全てがひっくり返りますよ。みんながビビるだけ。それと同じで村本(ウーマンラッシュアワー)がアメリカでスタンダップコメディやりたいって言ったって、夢じゃなくて日本人で誰もやってないからこそ、それに投資したい人がいるんですよね。芸とかに対して。もう、日本抜け出して世界行くっしょ!東京で仕事がねぇ?じゃあアメリカ行ってDJやるっしょ!

―コロナ明けのダイノジの目標は?

大谷

 クラウドファンディングでDJザウルスって恐竜を作ったんで、アメリカ、タイ、インドネシアでDJですね。世界をJ ポップとJロックで踊らせる!余裕ッスね。ちょろいッス!ワハハ!(笑)。

―その時大地さんは?

大地

 パフォーマーとして前で踊ります。エアギターやって。(大谷)監督と選手ですから。

―最後に大分の若者にアドバイスを!

大谷

 僕は大分が嫌で大分を出たので、嫌だなって思う君たちの気持ちもわかるし、出て行くといいと思う。でも出ると、こんな素晴らしい場所はないよって思うし、大分県出身ということを誇りに思う瞬間があるので、いつも心のどこかに故郷を持っておくといいと思う。僕は大分県出身で良かったなって思います!

大地

 僕は…東京で家を買っちゃったんでアレですけど(笑)、今はインターネットもあるし、東京にいても大分にいてもあんまり変わんないなって。もう東京がすげえ!って時代じゃなくなってるんで、大分で面白いことする方が…

大谷

 (小声で)ホントは、東京で家を建てたかったわけじゃないんだよね?あの…いるんですよ、すごく怖い…

大地

 うちのカミさんね。つか、そんな声のトーンで言うなよ!(笑)。うちのカミさん、東京の人だからね。でもカミさんも子どもも何度も佐伯に来てて、娘は大分で働きたい、佐伯に住みたいって言ってますよ。東京の子に佐伯の魅力が伝わったんでしょうね。東京も佐伯も変わんないんで、大分にいていいと思います。家は東京で建てる必要はないよ!(笑)。

おわりに

 ライブ終了直後の勢いそのまま、学生時代の思い出から大分愛、未来の子どもや大分についてまで熱い思いをたくさん語っていただきました!泣く泣くカットになった話(特に下ネタ)もいっぱいありますが、今後も大分でさまざまなイベントなどを行ってくれると思います。その時はぜひ参加して、ダイノジを体感してみてください。テレビで観る何倍もマジおもしれッス!

ダイノジさんのプロフィール

1994年結成、吉本興業所属。佐伯市の同級生・大地洋輔と大谷ノブ彦によるお笑いコンビ。2005年からはDJダイノジとしての音楽活動を開始し、大地さんは2006、2007年にエアギター世界選手権で二連覇を達成した。2020年からはYouTubeチャンネル「ダイノジ中学校」を開設して好評を博している。

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